意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて
(父上、逃げたな……)
にこやかに退出した父を横目に見て、
アウレリオは心の中でため息をつく。

「では、ビンセント殿。こちらへ」
アウレリオに促され、
三人は陽光の差し込むテラスへ。

爽やかな風、香り立つ紅茶。
――なお、会話はまったく爽やかではない。

ビンセントはカップを手に取り、
ふとラジワを見る。
「そういえばさ。せっかくソラリスに来たんだし」

ニヤリと笑うビンセント。
「ラジワ姉さまの話も聞かせてよ。アウレリオお義兄様とは、やっぱりラブラブなの?」

「っ!?」

「アウレリオお義兄様はさ、ラジワ姉さまの
どんなところが好きなの?」
ビンセントは矢継ぎ早に畳みかける。
ファティマからラジワへ、
ターゲットを変更したようだ。

「ラジワ姉さまって、結構気が強いでしょ?一緒にいて疲れない?僕なんて子どもの頃からずーっとお小言ばっかりでさぁ」

「ちょっと、ビンセント!」

慌てるラジワを尻目に、
余計なスイッチが入る男。
アウレリオは、
わざとらしく顎に手を当てた。
「そうだな……」

「ちょっと待ちなさい」

「普段は確かに気が強い。口も達者だし、遠慮もない」

「アウレリオ!?」

しかし、
次の一言で空気が弾ける。
「だが――二人きりになると、ずいぶん甘えん坊なんだ」

「!!!!」

「そのギャップが、たまらなく可愛い」
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