意地っ張りな私が策士な王太子に囚われて
その瞬間。

「……起きてるのか?」
低く少し掠れた声。

「ひっ……!?」
ラジワは跳ねるように身を固くした。

いつの間にか、
アウレリオは目を開けていたのだ。
にやっ、と。
いつもの余裕の笑み。

「顔が真っ赤だが。さては……何か、思い出してたな?」

「な、ななな……!」
言い訳しようとして、言葉が迷子になる。
「ち、違うわ!べ、別に……!」

アウレリオは、
静かに身を寄せる。
指先で、彼女の頬に触れた。

「……可愛い」
囁くような声。
「そんな顔、反則だ」

ラジワは完全に固まった。
(……この人……昨夜で終わりじゃ、なかった……!)

心臓がまた暴れ始めた。

「……よく眠れたか?」
何事もなかったかのように、
涼しい顔で言うアウレリオ。

ラジワは、
その一言だけで昨夜の記憶が一気に蘇り――
ぷしゅ、と音を立てて湯気を上げた。

「……ええ、おかげさまで!」
ぷい、と顔を背ける。

それを見て、
アウレリオは楽しそうに目を細めた。
「昨日のお前は、本当に可愛かったな」

「……っ!」

「やっぱり、お前が隣にいないと落ち着かない」

ここまでは、まだ甘い。
ラジワも、不覚にも胸がきゅっとなりかけた――

が。

アウレリオは、
完全に調子を取り戻した笑みで、
続けた。
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