夜明けが世界を染めるころ
セナが1週間遠征にいったあと
私たちは言葉だけの確認で終わらせなかった。

「――実際に動くよ」

その一言で、全員が剣を手に取る。
木剣とはいえ、空気が一気に引き締まった。

「開始」

私の合図で、アレンが真っ先に踏み込む。
素早い動きで距離を詰め、雷属性の魔力を想定した斬撃を放つ。
私は中央で“セナ役”として動きを受け止める。

「まだ足りない、アレン躊躇しないで!」
私は声を張る。

「はい!」
大きく返事をしアレンのスピードがさらに上がる。

「でも、ここで――」

ロベルトが一歩踏み出し、地面を踏みしめる仕草をする。
実際の魔法は使わないが、土壁が立ち上がる位置を想定して動線を切る。

「アレン、右に追い込みすぎだ」

「はい!」

動きが修正される。

「次、テオ」

合図と同時に、テオの姿が視界から消える。
物陰を使い、完全に気配を殺す動き。

「今、完全に見失ったな」

レオが言う。

「その状態を10秒作る」
テオの声だけが聞こえた。

「そこで、ルイ、レオ、そして私が入る」

私は剣を構え、一歩踏み出す。

「ここで挟む。
ルイは10時の方向 レオは2時の方向から」

「了解」
「いける」

全員の動きが噛み合い、自然と円を描く形になる。

「――止め」

私は剣を下ろした。

一瞬の静寂。

「……今の、かなり本番に近いんじゃない?」
ルイが言う。

「そうですね!でもセナ副団長だったらもっと圧があるな!」
ロベルトも言う。

アレンは息を整えながら、真剣な表情で言った。

「でも……いけます。
動き、ちゃんと繋がってます」

私は全員を見渡す。

「何度でもやるよ
体が覚えるまで」

剣を使った確認は、
この作戦を“机上の空論”から“現実”へと変えていった。

この1週間 それぞれが他の仕事をしながら時間を合わせては何度も動きを確認した。
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