夜明けが世界を染めるころ
気づけば、深い眠りに落ちていた。
次に目を開けたとき、
部屋の中は夕焼け色に満ちていた。
窓から差し込む橙の光が、床にも壁にもやわらかく滲んでいる。
「……夕方……?」
思ったより、ずいぶん長く眠ってしまったらしい。
こんなにのんびりすることは、滅多にない。
(でも……)
体を起こすと、まだ少し力が入りにくい。
体力も、だいぶ落ちてきちゃったな。
胸の奥が、わずかにざわつく。
焦り。
戦えない時間が長くなるほど、どうしても付きまとう感情。
私は窓をそっと開けた。
ひんやりとした夕風が、火照った頬を撫でる。
手を伸ばし、夕焼けの光に触れる。
「……気持ちいい」
そのときだった。
「あ、お嬢さま。おはよう」
気の抜けた、軽い声。
「……テオ」
窓のすぐ外で腰を下ろしていた彼と目が合う。
「よく眠れた?」
「うん」
「そっか。よかった」
へにゃりと、力の抜けた笑顔。
「さっきより、顔色よくなったね」
「……さっき?」
首を傾げると、テオは少しだけ目を逸らした。
「んー……昼?」
「長いよ」
「そうかも」
悪びれもせず笑う。
しばらく風の音だけが流れたあと、
不意に、テオの声が落ち着いた。
「……焦ってる?」
確信をつかれ少し戸惑ったが
「…うん。ちょっとだけ」
正直に答えると、彼は小さく頷いた。
「そっか」
それから、思い出すように言う。
「でもさ」
「『ご飯を食べるのも、休むのも、“騎士の仕事”なの』って
昔、お嬢さま言ってたよね」
「……確かに、言ったかも」
「それが今なんだよ」
まっすぐな声だった。
「お嬢さまが前に進むための、今の仕事」
「まさかテオにそんなこと言われると思わなかったな」
そう言うと、彼は肩をすくめた。
「失礼だなぁ」
でも、すぐに柔らかく笑う。
次に目を開けたとき、
部屋の中は夕焼け色に満ちていた。
窓から差し込む橙の光が、床にも壁にもやわらかく滲んでいる。
「……夕方……?」
思ったより、ずいぶん長く眠ってしまったらしい。
こんなにのんびりすることは、滅多にない。
(でも……)
体を起こすと、まだ少し力が入りにくい。
体力も、だいぶ落ちてきちゃったな。
胸の奥が、わずかにざわつく。
焦り。
戦えない時間が長くなるほど、どうしても付きまとう感情。
私は窓をそっと開けた。
ひんやりとした夕風が、火照った頬を撫でる。
手を伸ばし、夕焼けの光に触れる。
「……気持ちいい」
そのときだった。
「あ、お嬢さま。おはよう」
気の抜けた、軽い声。
「……テオ」
窓のすぐ外で腰を下ろしていた彼と目が合う。
「よく眠れた?」
「うん」
「そっか。よかった」
へにゃりと、力の抜けた笑顔。
「さっきより、顔色よくなったね」
「……さっき?」
首を傾げると、テオは少しだけ目を逸らした。
「んー……昼?」
「長いよ」
「そうかも」
悪びれもせず笑う。
しばらく風の音だけが流れたあと、
不意に、テオの声が落ち着いた。
「……焦ってる?」
確信をつかれ少し戸惑ったが
「…うん。ちょっとだけ」
正直に答えると、彼は小さく頷いた。
「そっか」
それから、思い出すように言う。
「でもさ」
「『ご飯を食べるのも、休むのも、“騎士の仕事”なの』って
昔、お嬢さま言ってたよね」
「……確かに、言ったかも」
「それが今なんだよ」
まっすぐな声だった。
「お嬢さまが前に進むための、今の仕事」
「まさかテオにそんなこと言われると思わなかったな」
そう言うと、彼は肩をすくめた。
「失礼だなぁ」
でも、すぐに柔らかく笑う。