夜明けが世界を染めるころ
ティアナside

調子が戻り、やっと本格的に訓練始動だ。
3人での共鳴訓練は、思っていた以上に静かなものだった。

「無理に繋げなくていい」
ディランが言う。
「意識するのは“共有”だけだ」

私は剣を構え、深く息を整える。
左右に、ディランとセナ。

共鳴を意識するとき、世界の輪郭がわずかに揺らぐ。
音が遠のき、代わりに――気配がはっきりと浮かび上がる。

(……あ)

最初に気づいたのは、セナだった。

いつもなら、彼の気配は鋭く、まっすぐで、
剣そのもののように張り詰めている。

けれど今は違う。

硬さはあるのに、どこか柔らかい余白がある。
まるで、私とディランの間に自然と立ち位置を調整しているような――。

(守る、じゃない……並ぶ、だ)

その感覚に、胸が小さく震える。

次に、ディラン。

光属性特有の澄んだ魔力は変わらない。
けれど、その流れ方が明らかに違っていた。

以前は、前へ、前へと導くような光。
今は――包み込むように循環している。

私に流れ込み、
セナへと渡り、
また私へ戻ってくる。

(……2人とも)

意識せずとも、呼吸が合っている。
剣を振る前から、次の動きがわかる。

「……来る」

私が呟くより先に、
セナが半歩前に出て、ディランが光を走らせる。

完璧な連携。

私は剣を振り抜きながら、確信する。

(変わった)

2人とも、確実に。

セナは、“一人で守る剣”を降ろしつつある。
ディランは、“導く王子”から、“共に立つ男”へと。

そして――
その中心に、私がいる。

訓練が終わり、剣を下ろす。

「……どうした?」
ディランがこちらを見る。

「いえ……」
私は首を振り、少しだけ笑った。

「2人とも、強くなりましたね」

セナが一瞬だけ目を伏せ、
ディランは、意味深に口角を上げる。

「気づいたかい」

その言葉に、私は答えない。

ただ、胸の奥で静かに思う。

(共鳴って……力だけじゃない)

心の向きが変わったとき、
それは、こんなにもはっきり伝わるのだと。
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