溺愛されるオッドアイ

私もびっくりした。
完全にスローモーションにならないなんて。
それにパンチひとつ、なのにものすごく重かった……。
ガードしながら蹴りにいったけど完璧には当てられなかったのがくやしい。

……だけど、痛いと思わせるくらいには当てられたんだと思えばマシだ。

「本当はがっつり当てたかったけど……今のはさっきの和真くんの分だから」
「さっきって……」

そうそばで和真くんがつぶやいたから、その顔を見上げてにこりと笑っておいた。
驚いたことに和真くんはこの距離感でも顔をそらさず、ただ赤くなる。

「和椛、本当に大丈夫?痛いところはない?」
「うん、ありがとう瑚白くん。飛ばされただけだから大丈夫」

腰に巻いたパーカーがクッションになってくれたのもあって。
それほど痛くはない。

「もうゆるさない!ぼくがいく」
「え、ちょ待てって椛月くん……って、奏ちゃん?」

怒る椛月が瀬名の方へと歩き出し、新くんが追うと、その二人の横をブレザーをなびかせた奏くんが無言で過ぎていった。
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