溺愛されるオッドアイ

バットが振り下ろされる最中、

『っ……!』──ゆがめられた顔……。
奏くんは間違いなくガードのために腕を上げようとしていた。
でも……上がらなかった。
何か、理由でもあるのかな。

考えながら視線を上がらなかった腕へとうつす。

──問題なく動かしてるし、さっきも棚から箱を取ってた……昨日のはたまたまってこと?

「はっ」

ぼんやりとそんなことを考えていたら、奏くんがひとりで笑うものだから、そこで思考はとまってしまう。
なぜ、今笑ったのか不思議に思っていれば、奏くんはわずかに顔を上げた。

「……なさけねぇな」
「え?」

なさけない?

「昨日、気付いたろ。俺の腕が上がらなかった瞬間のこと」

奏くんの表情を見て、なんとなく察するものがあった。
きっと、たまたまなんかじゃない。
腕が上がらなかったのは、何か理由があるんだって。

「……昨日みたいなこと、よくあるんだよね?」
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