鈍感な私は愛されヒロインです!?
「黒崎くんは?」

「まだ」

 その一言で、胸が少し重くなる。

 しばらくして、月城くんが出てきた。

「どうだった?」

「特に変わったことは」

「……そっか」

 最後に、黒崎くんが呼ばれた。

 ドアが閉まってから、時間がやけに長く感じる。

「なあ」

 瀬名くんが小さく言った。

「もしさ、黒崎が疑われたら、どうする?」

 その問いに、すぐ答えられなかった。

「事実じゃないなら、否定する」

 月城くんは即答だった。

「証拠がないなら、疑う理由はないだろ」

「だよな」

 瀬名くんは頷いてから、私を見る。

「ひよりは?」

「……私も」

 少し考えてから、言った。

「やってないって、思ってる」

 それは、根拠のある言葉じゃない。
 でも、嘘でもなかった。

 その時、ドアが開いた。

 黒崎くんが出てくる。

「……長くない?」

 瀬名くんが声をかけると、黒崎くんは肩をすくめた。

「しつこかっただけだ」

「何聞かれた?」

「昨日、誰といたか。何してたか。何回も」

 苛立ちを隠さない声。

「目撃情報って?」

 月城くんが聞く。

「一年坊が一人」

 短く答えた。

「体育館の裏で、俺を見たって」

 その場の空気が、一気に冷える。

「……それ、」

 私が何か言おうとした瞬間。

「俺じゃねぇ」

 黒崎くんは、はっきり言った。
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