【完】君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
麗奈の指先が、わずかに扇子を強く握りしめる。その微かな動揺を逃さず、奏汰は言葉を畳みかけていく。
「時東グループのやり方を否定するつもりはありません。しかし、強力な資本が入れば、経営の重心は必ず数字に依る。価格も演出も、やがて効率よく売れる形に無理やり最適化される。造り手のプライドが削り取られたとき、最後に残るのは無機質な数字だけです」
静まり返った座敷に、低い声が落ちる。
「今、あの旅館の口コミ評価は改装前の四・六から四・一まで落ちている。数字は嘘をつきません。……俺は、氷室をそんな風に使い潰させる気はない」
重苦しい沈黙が、この場の空気の重みと共にのしかかる。庭園の鹿威しが再びコンと乾いた音を響かせた。
「それと――昨年の件も」
奏汰は間を置かず、さらに踏み込んだ。
「観光庁の『ナイトタイム・ラグジュアリー体験創出事業』。時東が主幹で、地方都市の夜景クルーズとレストランを組み合わせた富裕層向け周遊プランを組んだ。補助金は三億。覚えておいでですよね」
麗奈の微笑みは崩れない。けれどそのまぶたがわずかに震えたのを、晴菜は見逃さなかった。
「時東グループのやり方を否定するつもりはありません。しかし、強力な資本が入れば、経営の重心は必ず数字に依る。価格も演出も、やがて効率よく売れる形に無理やり最適化される。造り手のプライドが削り取られたとき、最後に残るのは無機質な数字だけです」
静まり返った座敷に、低い声が落ちる。
「今、あの旅館の口コミ評価は改装前の四・六から四・一まで落ちている。数字は嘘をつきません。……俺は、氷室をそんな風に使い潰させる気はない」
重苦しい沈黙が、この場の空気の重みと共にのしかかる。庭園の鹿威しが再びコンと乾いた音を響かせた。
「それと――昨年の件も」
奏汰は間を置かず、さらに踏み込んだ。
「観光庁の『ナイトタイム・ラグジュアリー体験創出事業』。時東が主幹で、地方都市の夜景クルーズとレストランを組み合わせた富裕層向け周遊プランを組んだ。補助金は三億。覚えておいでですよね」
麗奈の微笑みは崩れない。けれどそのまぶたがわずかに震えたのを、晴菜は見逃さなかった。