【完】君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
「氷室の売上はこの三年、停滞していますわね。原材料費も人件費も上がる一方です。奏汰は理想を語る若い情熱家。けれどこの暖簾を守り抜く責任があるのは、あなたです。……弟の幼い恋心と、百年の歴史。どちらを重く見ますの?」

 晴菜は膝の上で拳を握りしめた。麗奈の放つ、成功者特有の冷徹な空気に気圧され、肺が縮こまるような感覚に陥る。彼女の言葉には、反論を許さない重圧が確かに込められていた。
 奏汰は隆之を見つめ、ゆっくりと息を吸い込んでいく。

「兄貴。これは俺のわがままなんかじゃねぇ。組む相手のリスク管理の問題だ。短期的な数字は魅力的かもしれないが」

 奏汰はそこで含みを持たせるように言葉を切った。隆之の視線が、手元の湯呑みへと落ちていく。
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