狼少年
無言でボタンを押して、私はシーザーサラダとアラビアータ、食後にエスプレッソを頼んだ。桂も適当に何か食べるのかと思っていたら、「ホットコーヒーブラックで。」メニューを見ないで一言。
「昼飯食ってきた。」
「……」
店員が席を離れたときに、それで遅れてきたのかと睨みを利かせる。何が言いたいのかわかったらしい桂は、肩をすくめてもう一言付け加えた。
「電車の中でな。」
「…あそ。」
「あやこってわかりやすいな。」
その言葉がとても不愉快で、私は聞こえない振りをして水を喉に流した。