狼少年

「ほら。桂起きろ」

修司が桂の肩を揺すってるのが見えた。桂と修司は意外と仲がいいらしい。虚ろに開いた桂の瞳が、私の視線とバッチリ重なった。昨日の言葉を思い出した私は、全力で顔をしかめて目を逸らした。麻由が怪訝そうに私の顔を見て、

「どうしたの変な顔して。降りるよ」

「…なんでもない、行こ。」

開いたドアに歩きだすと、後ろから噴き出すような笑い声が聞こえた。

…ああいう、人をからかって面白がってるところがムカつく。
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