【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
私たちはマンションの前に着いた。

勇凛くんが私の方を向いた。

「七海さん。あの……」

「どうしたの?」

勇凛くんが指輪が入っている紙袋から、指輪のケースを取り出した。

「指輪、つけませんか?」

「え、今?」

「はい。ダメですか?」

ダメなんかじゃない。
ただ頭が明日の事でいっぱいになってしまっていた。

本当に見なきゃいけないのは、勇凛くんなのに。

「ううん。つけたい」

指輪のケースの中には二つ並んだ指輪。

「七海さん、手を出してください」

私が手を差し出すと。

勇凛くんが薬指に指輪をはめてくれた。

結婚しているんだという実感が湧いた。

「こんな場所ですみません」

勇凛くんが申し訳なさそうにしている。

「ううん。私は全然気にしないよ」

私は勇凛くんの手を取った。

もう一つの指輪を勇凛くんの指にはめた。

この人が自分の夫だという実感も湧いた。

「なんか、指輪をつけただけなのに、急に夫婦の実感が湧いてきた」

「そうですね。不思議です」

見ていると勇気が湧く。
買ってきてよかった。

「ちゃんと改めて式もしましょう。七海さんのウェディングドレス姿見たいです」

ウェディングドレス。
一生着ることはないんじゃないかと思っていた。

「うん。私も着てみたい」

私と勇凛くんは、星空の下、誓いのキスを交わした。

教会でもない。
特別な場所でもない。

でも、私にとって、勇凛くんがいればそれだけで特別なんだ。

「じゃあ七海さん、また明日」

「うん。気をつけて帰ってね」

その後、勇凛くんの背中が見えなくなるまで見送った。
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