前世王子アイドルグループ~僕たちは君の一番星になりたい☆。.:*・゜
 エンタメ特別放送部のアンケートボックスの中は前回のように、用紙がはみ出るくらい大量にお褒めの言葉が入っていた。

 それはとても嬉しいのだけど、どうして毎日チェックしているのに、映像の拡散されている気配は少しも感じないのだろう……と、寂しくなってきた時だった。SNSで映像の話題を見つけた。

『あのですね…うちの学校でですね、プリレボの神映像がね…手元にあるので、載せたいんですよ。でも載せたら、泣いてしまうって、みずっきくんご本人が(苦しみの顔文字)』

 みずっきくんが、泣いてしまう?
 
 どういうことか分からなかったから、直接プリレボ城で夜ご飯をみんなで食べている時、隣に座っているみずっきくんに聞いてみることにした。

「あっ、放送する時の注意事項の時に言ったかも!」
「何を?」

 僕はみずっきくんの注意事項を一切覚えていない。映像がよい!と感動した記憶しかない。

「たしか、放送する映像は撮影も録音もインターネットへの投稿も禁止~約束! みたいなこと言ったあとに、守ってくれないと泣いちゃうって……」
「それだ!」

「だからか! どうして作戦が上手くいかないんだろうって考えてたんだけど、分からなかった!」

 話を聞いていたそたくんも反応した。

 ご飯を食べ終わると、すぐにあの書き込みをみんなに見せた。

「これなんだけど……えっ、コメント数すごい!」

 コメント数が、千を超えている!

『見たいけど、みずっきくんが泣いちゃうのなら見ないほうがマシだよ(なみだ)』
『こっそりDMでよろしくお願いします』
『みずっきくん泣かせたらダメ!載せたらダメ!』
『みずっきを悲しませて泣かす人は敵とみなす!』

……

 すごい。

 みずっきくん泣かせたらダメ軍団が溢れている!

 もしも僕がまだ、ただのファンであったのなら、同じようにみずっきくん泣かせたらダメ軍団に入隊し、このコメントの中にお邪魔していただろう。

 世界のみずっきくんファンにとって、みずっきくんの嬉しみの涙は宝物、そして悲しみの涙は毒なのだ。

「どうしよう……僕の発言のせいで、いつきんのためのせっかくの作戦が失敗しちゃう。僕はいつもこうなんだ……迷惑かけてごめん」

 あぁ、今、目の前でみずっきくんが、まさに涙を流そうとしている。

 僕は必死に考えた。脳の全てをフル回転させて。作戦が上手くいく方法……いや、みずっきくんを泣かさない方法を。

「あ、あの、よい方法があります!」

 僕は控えめに左手を上げながら、みんなに今、隠していた秘密を打ち明ける決心をした。
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