ガラスの告白
 午後の授業は、体育館でおこなわれる、卒業式の説明練習でした。
 あの場所は寒いからと会話が聞こえると、コートを羽織る姿を目にします。
 時男も同様にコートを羽織ると、クラスメートに続き教室を後にしました。


 体育館に移動する廊下。職員室入り口上に掲げられた表示版がみえますと、一人、見上げる形で足を止めていました。
 ひと月前のように、あの場所、あのソファーで。少女は自習をしているのかと考え、廊下から職員室内を意識してしまいます。


 扉を開け確認したく、手をかけましたが、中に居る職員らに訪れた時の口実が思い浮かばず、開く勇気が持てませんでした。


 引き手口に手をかけたまま聞き耳を立ててもいましたが(少女の声など、この場所では届くはずもないのに)そう思うい、自分がみじめに感じてしました。

 背中ごしに通る下級生の視線も、不審に向けられたものに感じます。
 痛まれなくなり顔を伏せると、逃げるようにその場を離れました。
 気まずい気持ちの中、数歩のところで、もしかしてっと気づきます。


 保健職員と気軽に話していることから、今まで何度か保健室で、職員室以外でも自習などでおとづれていたのではと考えます。
 そのまま振り返り廊下を歩き出すと、歩く速度は、わずかながら足早のものになっていました。
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