だからアナタに殺されたい。
*****
その後もローゼルは私を始め、騒ぎを聞きつけた帝国騎士団総団長にも、騎士団が所属する国防省のトップにも、詳しい事情を説明しなかった。
ローゼルはただ「気に入らなかった」とだけしか言わなかったのだ。
さすがに「気に入らない」という理由だけで、相手を再起不能にするまで打ちのめすことは許されることではない。
よって、ローゼルは皇帝陛下から直々に、謹慎処分を受けることになった。
「ローゼルがいなくなって、本当、せいせいするぜ」
第一騎士団に所属する騎士が、救護室でそう愉快そうに話し始める。
「アイツ、調子に乗りすぎだったよな?庶民のくせに強いからって、俺たちに刃向かって」
その騎士の隣にいた同じような騎士も、ニヤニヤしながらその話に乗っていた。
彼らは救護室に必要もないのに薬を取りに来ている騎士たちだ。
仕事の合間に、息抜きにここへ来たのだろう。
彼らの嫌な会話を聞きながら、私は目の前の騎士、マックスの左膝の処置をしていた。
捲り上げられた制服のパンツから見える膝は大きな擦り傷があり、血も流れている。
街で子どもを助けた時にできたものらしい。
マックスの所属する第二部隊は通称実働部隊とも言われており、何か有事には彼らが前線へと立つ。
戦争、モンスター討伐、街の犯罪対応など、彼らの活動範囲は多岐に渡り、確かな実力が求められる。
その為、第二部隊には、かなりの実力者が所属していた。