だからアナタに殺されたい。



「…エレノア」



泣きそうな声でこの部屋に入ってきた1人の人物は、先ほども会った、エレノアの母親だ。
そんな母親の横で、辛そうな表情を浮かべるもう1人の人物は、おそらくエレノアの父親だろう。



「エレノアなら大丈夫だ。必ず、施設から生きて帰ってきてくれる。必ずだ」



母親の肩を抱き寄せ、悲痛な声でそう言った父親の言葉に、俺の思考は一瞬停止した。

…施設?
…必ず生きて帰ってくる?

ゆっくりと、慎重に、その場から音もなく離れる。

バクバクと心臓が加速し始め、止まってしまった思考が、またゆっくりと動き出す。

ーーー嫌な予感がする。

エレノアの家から距離を取ったところで、俺は全速力で走り始めた。

頭の中で、けたたましく警報が鳴り響く。
このままでは、エレノアを永久に失ってしまうかもしれない、と。


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