「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 


「そういえば、このパン、課長がいつも買ってきてくださるけど、何処にお店あるんですか?」

「たまには散歩にでも行くか」

 課長とお散歩っ。

 仲良し夫婦のようではないですかっ。

 二人で食器を片付け、玄関で待ち合わせをする。

 部屋に戻った環奈は、

 なにを着て行けばっ、と迷う。

 いや、ただ家の近所を歩くだけなんだが。

 課長といるときは、二択だからな。

 職場のままスーツか。

 あるいは、だらだらした部屋着か。

 そもそも、働いてると、いるのその二種類だけだし。

 ここに服、全部置いてるわけじゃないし。
 ちょっとその辺にお散歩に行くお洋服なんてないしっ。

 いや、ビーチのイベントのときにそれらしい服買ったっ。

 服、確かこっちにっ。
 慌ててガサガサ探した環奈だったが。

 あまりに夏のビーチッといった感じの服にうなだれる。

 季節はすでに秋っ。

 ああ、どうしよう。

 同じ家なので、

「十分後な」
と課長は、待ち合わせを短時間に設定するし。

 いや、課長の性格なら五分と言いそうだから、一応、気を利かせてくれたのかもしれないが。

 そもそも、待ち合わせ、すぐそこの玄関だし。

 はっ、そうだ。
 あれがあったっ。

 環奈は急いで荷物を漁った。
 

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