「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
よし、ちょっと強気に、しばらく来なくてもいいぞ、とか言ってみよう。
そう思いながら、滝本は平井とともに環奈を追いかけた。
「花守」
と呼びかけると、環奈が振り返る。
「花守、しばらく家に……」
「はい」
「家に……」
環奈が愛らしい黒い瞳で、なんだろう? というように自分を見ている。
「……家に、今日、牛乳買ってからきてくれ。
お前の方が早く仕事終わるだろ?」
「あ、はい、わかりました」
と環奈は笑い、みんなのもとに駆けていってしまった。
「……全然駄目じゃないですか」
課長はもしかして、仕事以外のことは駄目な感じの人ですか、と平井に言われてしまう。
「いや、冗談でも、そんなことを言うのは抵抗が……。
ほら、言霊ってあるじゃないか」
「あの、言霊を信じるのなら、素直に好きって言い続けた方が効果あるのでは?」
平井のくせに正論だっ、と滝本は衝撃を受ける。
こいつ仕事のときにはまったく正論を言わないのにっ、
と思いながらも滝本は、平井に向かって言った。
「お前を恋愛の師匠と思っていいか」
「……あの、課長。
お忘れかもしれませんけど、俺、連続して彼女と別れてますからね」