「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
またこの二人、離れて座ってる。
そう思いながら、西山はカウンターから環奈たちを見ていた。
滝本がまたおまかせを頼む。
「わかりました。
なにかリクエストとかありますか?」
常連の好みを知るために訊いてみた。
まあ、なんでも美味そうに食べてはくれるのだが。
滝本は黙って酒の入ったグラスをじっと見つめる。
「……敢えて言うなら
そうですね」
そのあとの言葉が出てこない。
いや、そんなに真剣に悩まなくていい。
ちょっと訊いてみただけだから、
と西山が思ったとき、滝本が言った。
「……ここに来ておいて、なんなんですが。
今は――
寿司が食べたいですかね?」
……ほんとうに、なんでここに来たんだ、と思いながら、
「わかりました」
と西山は厨房に一度戻る。
「……いや、なんとかできそうです」