婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
今回、琉生さんは機長ふたりと運航しており、そのうちのひとりの機長の具合が急に悪くなったそうだ。
 
機長の容体はもちろん心配だし、どうか無事であってほしいと願う。

だけどあの巨大な機体を緊急事態の中、無事に着陸させる琉生さんの心情を思うと自分が操縦できるわけでもないのに胸が詰まる。

心音がどんどん激しく大きくなり、無意識に握りしめた指先が冷たくなっていく。
 

私がうろたえてどうするの、しっかりしなくては。

 
もうひとりの経験豊富な機長だっていらっしゃるのだし、琉生さんならきっと大丈夫。


彼は優秀で技術力も高い。

なにより自分の仕事に責任と誇りをもって常に努力している。

信じて待とう。
 
心配そうな未歩に私は教えてくれた礼を告げる。

カウンターは情報を求めたり、変更を希望するお客様対応で混雑しており手伝おうかと告げたけれど、未歩に止められた。

非番の私が勝手な行動をしては余計な混乱を招くかもしれない。

さらに勤務準備も整っていないし、身内なのだからと。

念のため上司には空港内に私がいることを報告しておくので、万が一の事態や助けが必要なときは連絡すると言われた。
 
それからの時間はとても長く感じられた。

私以外にも、情報を得た乗客の家族たちが心配そうに話していたり、空を見上げ、普段とは違う滑走路を見つめている。
 
未歩から琉生さんの飛行機が緊急着陸する滑走路を教えられ、そこが一番よく見える場所へと移動する。

滑走路は元々誘導灯などでカラフルに光っているが、今は緊急車両のランプがとても目立っている。
 

琉生さん、どうか無事に戻ってきて。
 

あなたに伝えたい大切な気持ちがある、私はもう迷わない。
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