君がくれた涙は、さよならのために
「…っ」


ゾッとした。

私を見下ろす氷川くんの瞳が氷のように冷たく、目の前にいるのに私のことなんてちっとも見えていないかのようだったから。


「なん…で…っ」

「女だからって、手加減してもらえるとでも思った?関係ねぇから。どうだっていい。邪魔するならおまえのことも殴るよ」


パッと腕を離され、やっと解放されたジンジンと痛む腕をおさえる。

怖かった。

まだ掴まれていたら、きっと今頃折れていただろう。

氷川くんは本気だ。何もかもどうでもいいと思っているのだ。

他の子だったらきっと泣き出してしまってもおかしくない状況だと思う。


「いいよ、殴ったって。他の人を殴るくらいなら私を殴ればいい。イライラの矛先を向けるなら、私にしなよ」

「…は?」


氷川くんはどこか私に似ている気がする。

抑えて耐えて隠しているけど、どこにもぶつけることのできない悲しみを抱えているような、そんな瞳をしていたから。


「私たち、友達になろ。わかり合える気がするんだ」
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