身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
 渋滞に巻き込まれる事なくタクシーは街中を走っていく。すると私の左側に座る佑太さんは何か思いついたのかそうだ。と低い声でつぶやいた。

「実は今日、俺の家に母さんが来てるんだけど」
「え、京子さんが?」
「ああ。今頃お昼ご飯作り始めてるかも」

 久しぶりの再会は嬉しいが、あの時とは立場が違う。だって所有者だけでなく私の義母になる女性なのだから。そう意識するだけで緊張感がぎゅんぎゅんと高鳴っていく。

「緊張してる?」
 
 佑太さんに左手を握られると、掌を指でなぞられる。つつ……とゆっくり手の皺を触れられるとなんだかくすぐったいし、どきっと胸の奥が弾んだ感覚がする。

「汗かいてる」

 ぼそりと事実を述べられ、私はこくりと首を縦に振る。

「やっぱり、緊張する、ね……」
「俺がいるから大丈夫」
「ありがとう……」
「親戚のおばさんみたいに思っておけばいいから」

 それは例えとしてどうなんだ? と突っ込みたくなる。だけどガチガチした緊張感が柔らかくなって少し楽になれた。
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