ながされて、絆されて、ふりむいて


「違う。だってね、わたし、名波さんから誘われて、断ってるんだよ」


「……それは、なんで。……ってこないだも聞いたけど」


「………なんで、って、」



やっぱり覚えていない凪に、また苦しさが迷い込んで溺れそうになる。


……いつも、いつだって、物心ついたときから、わたしばかりが凪を追いかけている。


就職ひとつとったってそうだ。リンノアでやりたいことがあったわけでも、自分の能力を活かせると思ったわけでもない。ただ、凪の第一志望だったから。凪の近くにいられる、それを叶えられるから。


リンノア以外の志望会社も受けたよ対策したよ全部受かったよ、大学の二の舞になりたくなくて頑張ったの。


就職先まで追いかけるほど、わたしはきみが、すきなんだよ。だいすきなの。



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