ながされて、絆されて、ふりむいて
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金曜は追いかけずとも、すぐにやってきた。わたしも名波さんも予定通り定時退社を実行することができた。
「今さらだけど、児玉さん、飲める?」
「すこしなら、飲めます」
「良かった、あんまり無理はしなくていいから。メニューどうぞ」
金曜、17時45分。わたしの最寄駅の、隠れ家風おばんざい屋さん。
硬めのクラフト紙に書かれたメニューを差し出してくれるから、受け取ってアルコールの名前たちをなぞる。
けれど一杯目はもうずっと、決まっていた。
名波さんとわたし、最寄駅が隣同士だったらしい。うちの最寄りも行動範囲内っていうから、いくつかピックアップしてもらったおすすめのお店の中からセレクトした。
「生ビールにします、黒ラベル」
「児玉さん生いけるんだ、意外」
「弱いのでたくさんは飲めませんけど」
「弱いのは想像通り。かわいい」