ながされて、絆されて、ふりむいて
09.刹那的メランコリー


◻︎▫︎


季節が巡って高校生になっても、変わらないことはいくつもあった。


小学校から仲良しのお友達。ピンク色が好きなこと。大学教授というお父さんの職業。国語が得意で、数学が苦手なこと。


──その中でも、これまでもこれからも、絶対に絶対に変わらないこと。



テスト期間がいちばん大切なこと。



──茅野凪が、だれより大好きだってこと。



テスト期間は大好きな凪に会えるってだけで宝物みたいにだいじな時間になる。


塾のある火曜と金曜、普段は憂鬱に支配されてしまうけれど、この期間だけは違った。お父さんとお母さんの代わりに、凪が迎えに来てくれるから。


お願いだからこの期間に彼女つくんないで、って神さまに願う。彼女がいてもきっと凪は迎えに来てくれるけど、誤解されかねないことは嫌だったから。


小学校からエスカレーター式の女子校に通うわたしと凪は当然べつの学校なわけで。制服で並んで歩くことができるのはテストのときだけだった。



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