ながされて、絆されて、ふりむいて



「……わかった。心配かけて、ごめんね」


「ん。名波さんに迷惑かけないようにね。じゃあ、花鈴のことよろしくお願いします」



今度こそ凪が背を向けて、行ってしまった。

わたしの家なんて飽きるくらい来てる。場所は当然にわかっているのに、一緒に帰ってはくれない。


この距離が遠すぎて、さみしいの。



「……あんなんなら、茅野が送ってやればいーのに」



わたしと凪の、明らかに"同期"を超えた関係に、名波さんは何も驚いていないみたいだった。


それから本当にただマンションの入口まで送ってくれた彼にお礼を伝えた。


……当てつけみたいに行動するのはやっぱり、ただ、虚しくなるだけだった。こころはなんにも埋まらなくて、空っぽだ。



──もうわたし、あのひとの呪縛を、あのときの責任を捨ててもいいかな。


──もう、好きって伝えたらだめかな。






"わたあめみたいに甘くて、葉っぱみたいに脆い軽薄な言葉にさそわれて、手を取ってしまった"





──矢野先生、あなたの危うい甘さに飛び乗ったわたしをもう、いい加減に過去にしたい。





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