ながされて、絆されて、ふりむいて
「またね、なぎ」
「うん、また。先輩」
流れるようにスムーズにキスをして、わたしと反対側に歩いて行ったスタイルの良い女の人をわたしも目で追ってしまう。
凪の彼女は年上が多くて、それでいて可愛いというよりは綺麗で美人なひとが多かった。いまのひとも、例に漏れない。
「……花鈴、」
立ち尽くしてしまったわたしはしっかり見つかってしまった。数メートル向こう、凪のほうがこちらへ歩いてきてくれる。こんなにも短い距離が、遠すぎる。
「あ、えっと……お母さんが、凪と凪ママに、って」
握りしめていたせいで、クラフトの持ち手はふにゃふにゃだった。
休日の凪そのまま、前髪は目にかかって鬱陶しいそうに存在している。隙間から見える瞳が細くゆるまって優等生の笑みをくれた。
「ありがと」
「ね、なぎ……」
柔和で、わたしに怒ったことなんて一度もない穏やかな凪が変わらず正しく笑うから。
ぎゅ、と凪の深青をちいさく握りしめて見上げて、あいまいな視線を重ね合わせる。


