悪女と罵られたので退場させていただきます!
~アーリャナシル帝国編~
1.帝国
「この度は大変でしたね、ヴァレリー公爵令嬢」
何故、この方が。
私に声をかけてきたのは、第二皇子殿下のご子息。
数多くいる皇帝陛下の御孫様のおひとり。名前は、ハイドン様です。
「ごきげんよう。ハイドン様」
「お元気そうで何よりですよ。そういえば、お聞きしましたか? ボルゴーヌ王国の王女と公爵子息のその後を」
「風の噂では」
「愚かというか。まあ、自業自得ですね」
私は、ハイドン様から視線を逸らしました。
この方の意味深な目がどうも苦手です。もっとも、ボルゴーヌ王国での出来事については知らない者はいないでしょうし、わざわざ話を振って来る男性は何も彼だけではありません。あの二人の件を会話のネタにする者も後を絶ちませんしね。要は、私と話す切っ掛けに使っているのでしょう。
「ところで、ヴァレリー公爵令嬢。お時間はありますか? もしよければ、お茶でもいかがです?」
「申し訳ありません。これから陛下にご報告がありますので」
「そうですか。それは残念だ。では、またの機会に」
私は、ハイドン様と別れると陛下の執務室へと向かいました。
ハイドン様の様子からして何も知らないのでしょう。
だからこそフリーになった私に声を掛けてきたのでしょうね。
どうやら、皇族の方々も私に新たな婚約者が決まったことをご存知ないご様子。極秘で決まったとはいえ徹底しています。恐らくですが、私が結婚するまで秘密にするつもりでしょう。公爵邸には未だに私への求婚の手紙が届きますし。
私は長い廊下を歩きながらアーリャナシル帝国に戻ってきた日々を思い出していました。
『それにしても今夜の客は妙に男性が多かったわね。女性の方も居たことは居たけれど……少数だったし……。大方どこかの余り者の貴族が公爵家の入り婿を狙ってのことなんでしょうけど。そういう輩に限ってロクな男じゃないのよね』
私は、着替えの手伝いをしてくれているサーニャに愚痴をこぼしました。
『ブランシュ様に馴れ馴れしく接してくる殿方がいるなんて!明らかに下心がありそうで気持ち悪いです! 』
『今日は高位貴族しか招待していないから家柄は良いのだけれど……ああも露骨だと嫌になるわ。それにしても、行き遅れの年増に対してあれだけの求婚者が来るなんて……。意外だわ』
『なにを仰るんですか!ブランシュ様はこんなにお美しいのですから求婚者が列をなすのは当然ではありませんか! 』
『ありがとう。サーニャ』
『それに……ブランシュ様は行き遅れなんかじゃありません! まだ二十四歳ではありませんか! 全然お若いですよ! 』
『あら、そう? 嬉しいことを言ってくれるわね。でも貴族令嬢としては行き遅れなのよ。もう適齢期を過ぎているもの』
『そんなことはありません! ブランシュ様なら引く手数多です! 』
『まぁ、公爵家の婿入りを望む男性は多いでしょうね 』
現に釣書の数は尋常ではないし。帝国貴族のみならず、他国からも山のように届いていたわ。
求婚者の中にはアピールポイントをこれでもかと記載していたのもあったわね。あれは私宛というよりも公爵であるお父様宛でしょうね。
如何に自分が優秀か。
どれだけ公爵家に貢献できるのかを長文で書き連ねていたわね。
私と結婚した暁には帝国に莫大な利益をもたらすと豪語する者もいたけれど……。
『普通の感性を持った人なら文句は言わないわ』
後、まともな倫理観を持ち合わせている人なら。
『ブランシュ様ったら!公爵家の肩書がなくともブランシュ様は美人で聡明なんですから!もっと高望みしてください!ブランシュ様なら皇太子妃にだってなれますよ! 』
『ふふふ、ありがとう。サーニャ。でも、皇太子妃は無理ね。皇室に嫁ぐことになってしまうもの』
『あ!そうでした…… 』
『サーニャから元気を貰ったからもう少し頑張って婚活に励もうかしら』
『はい!ブランシュ様! 』
そんな会話をサーニャとしていたせいでしょうか。
私の結婚は突如として決まったのです。
それも意外な形で……。
何故、この方が。
私に声をかけてきたのは、第二皇子殿下のご子息。
数多くいる皇帝陛下の御孫様のおひとり。名前は、ハイドン様です。
「ごきげんよう。ハイドン様」
「お元気そうで何よりですよ。そういえば、お聞きしましたか? ボルゴーヌ王国の王女と公爵子息のその後を」
「風の噂では」
「愚かというか。まあ、自業自得ですね」
私は、ハイドン様から視線を逸らしました。
この方の意味深な目がどうも苦手です。もっとも、ボルゴーヌ王国での出来事については知らない者はいないでしょうし、わざわざ話を振って来る男性は何も彼だけではありません。あの二人の件を会話のネタにする者も後を絶ちませんしね。要は、私と話す切っ掛けに使っているのでしょう。
「ところで、ヴァレリー公爵令嬢。お時間はありますか? もしよければ、お茶でもいかがです?」
「申し訳ありません。これから陛下にご報告がありますので」
「そうですか。それは残念だ。では、またの機会に」
私は、ハイドン様と別れると陛下の執務室へと向かいました。
ハイドン様の様子からして何も知らないのでしょう。
だからこそフリーになった私に声を掛けてきたのでしょうね。
どうやら、皇族の方々も私に新たな婚約者が決まったことをご存知ないご様子。極秘で決まったとはいえ徹底しています。恐らくですが、私が結婚するまで秘密にするつもりでしょう。公爵邸には未だに私への求婚の手紙が届きますし。
私は長い廊下を歩きながらアーリャナシル帝国に戻ってきた日々を思い出していました。
『それにしても今夜の客は妙に男性が多かったわね。女性の方も居たことは居たけれど……少数だったし……。大方どこかの余り者の貴族が公爵家の入り婿を狙ってのことなんでしょうけど。そういう輩に限ってロクな男じゃないのよね』
私は、着替えの手伝いをしてくれているサーニャに愚痴をこぼしました。
『ブランシュ様に馴れ馴れしく接してくる殿方がいるなんて!明らかに下心がありそうで気持ち悪いです! 』
『今日は高位貴族しか招待していないから家柄は良いのだけれど……ああも露骨だと嫌になるわ。それにしても、行き遅れの年増に対してあれだけの求婚者が来るなんて……。意外だわ』
『なにを仰るんですか!ブランシュ様はこんなにお美しいのですから求婚者が列をなすのは当然ではありませんか! 』
『ありがとう。サーニャ』
『それに……ブランシュ様は行き遅れなんかじゃありません! まだ二十四歳ではありませんか! 全然お若いですよ! 』
『あら、そう? 嬉しいことを言ってくれるわね。でも貴族令嬢としては行き遅れなのよ。もう適齢期を過ぎているもの』
『そんなことはありません! ブランシュ様なら引く手数多です! 』
『まぁ、公爵家の婿入りを望む男性は多いでしょうね 』
現に釣書の数は尋常ではないし。帝国貴族のみならず、他国からも山のように届いていたわ。
求婚者の中にはアピールポイントをこれでもかと記載していたのもあったわね。あれは私宛というよりも公爵であるお父様宛でしょうね。
如何に自分が優秀か。
どれだけ公爵家に貢献できるのかを長文で書き連ねていたわね。
私と結婚した暁には帝国に莫大な利益をもたらすと豪語する者もいたけれど……。
『普通の感性を持った人なら文句は言わないわ』
後、まともな倫理観を持ち合わせている人なら。
『ブランシュ様ったら!公爵家の肩書がなくともブランシュ様は美人で聡明なんですから!もっと高望みしてください!ブランシュ様なら皇太子妃にだってなれますよ! 』
『ふふふ、ありがとう。サーニャ。でも、皇太子妃は無理ね。皇室に嫁ぐことになってしまうもの』
『あ!そうでした…… 』
『サーニャから元気を貰ったからもう少し頑張って婚活に励もうかしら』
『はい!ブランシュ様! 』
そんな会話をサーニャとしていたせいでしょうか。
私の結婚は突如として決まったのです。
それも意外な形で……。