悪女と罵られたので退場させていただきます!
8.噂1
「ねえ、聞いた?」
「えぇ、聞きましたわ!」
「信じられませんわ」
「まさか……」
「本当よ。王女殿下の寝室からがフリッド様が深夜に出て来られたんですって」
「「「まあ!」」」
二人のそういう話は、社交界での最大の関心事であり、女性達だけの茶会では頻繁に話題にされていました。
当事者達はそのことを知らないようですが。
私の耳にまで届くほどなのだから相当でしょうね。
ええ、今もパーティー会場のあちこちで囁かれていますもの。
「そういえば心なしか王女殿下のお腹が大きくありませんこと?」
「えっ!?」
「それって……ひょっとして……」
「懐妊されているという噂もありますわ」
「「「……」」」
「愛し合うお二人と愛の結晶。これは、お二人のご結婚は近いかもしれませんわね」
「「「きゃー!素敵ですわぁ!」」」
何がどう素敵なのか理解しがたい反応を示す令嬢達。
彼女達の頭の中も噂の二人同様に、お花畑なのでしょうね。
おめでたい頭の持ち主は現実を理解できないようです。
令嬢達が盛り上がっている一方で、大人達はというと――
「「「「「……」」」」」
「「「「「嘘だろう!!!?」」」」」
「本当らしい」
「王女が妊娠なんて」
「ありえん!」
「ですが……確かに腹が膨らんできているらしいですぞ」
「そんな……まさか……」
「王女が妊娠など、何かの間違いでは!?」
「しかし、あの腹の大きさは……」
大人達は現実を受け入れられずにいるようでした。
それもそうでしょう。
王族の結婚は国と国との結びつきを強くするためのもの。
その道具である王族が妊娠するなど、あってはならないことですから。
おめでたい頭の持ち主達とは違い、現実を直視する大人達は事実確認に躍起になっています。
「オーファンラスター公爵家の倅は何をやってんだ!?」
「オーファンラスター公爵家は何をしているんだ!」
「オーファンラスター公爵は倅が王女を妊娠させたのを知らないのでは?」
「いや、それはないだろう」
「そうだな、王女の腹の大きさは既に噂になっているんだ。知らなはずはない」
「では、何故、公爵は何も言わないのだ!?」
大人達はオーファンラスター公爵が何の対処もしていないことに困惑しているようですね。
それもそのはず、息子が王女を孕ませた、など。
公爵が信じたくなくて対処していないのか、それとも知らないだけなのか。
彼らも判断し辛いのでしょう。
「しかし、これは不味いぞ。オーファンラスター公爵家の息子は帝国貴族と婚約中だ」
「王女殿下の方が深刻だろう!未婚の……それも王女が子を孕むとは言語道断だ!」
「それも大変ですが、問題は王女様にも婚約者がいる事です!このままでは婚前に妊娠したことが公になりますわ。そうなれば国の威厳に関わります!」
「……なんとか穏便に婚約を解消する必要がある」
「だが、どうやって?そもそも婚約解消に応じるのか?応じたところで……どうなる?向こうの国にしてみれば顔に泥を塗られたも同じ。我が国との同盟破棄も考えられるぞ」
「くそっ、どうすればいいのだ!?」
下手に事を荒立てれば自国が窮地に立たされるのを悟った大人達は、何とか穏便に事を済ませる方法を模索するも、名案は浮かばない様子。
「いっそのこと、黙って婚姻させてしまえばいいのでは?」
「馬鹿を言うな!そんな事をしてみろ。この国は終わりだ!!」
「だが、このまま黙っているわけにはいかぬ!」
「それは……そうだが」
いくら考えたところで、名案など出るはずもなく、大人達は頭を抱えて黙り込むしかありません。
「まずいな。早急に手を打つ必要がありそうだ。ブランシュ嬢の留学期間も残り僅かだし、何か手を打たねば……」
「そうだな」
「うむ」
「だが、この事は極秘事項とする。他言無用だ」
「わかった」
「承知した」
こうして、それぞれの思惑が入り乱れるなか、ボルゴーヌ王国は不穏な空気に包まれていくのでした。
「えぇ、聞きましたわ!」
「信じられませんわ」
「まさか……」
「本当よ。王女殿下の寝室からがフリッド様が深夜に出て来られたんですって」
「「「まあ!」」」
二人のそういう話は、社交界での最大の関心事であり、女性達だけの茶会では頻繁に話題にされていました。
当事者達はそのことを知らないようですが。
私の耳にまで届くほどなのだから相当でしょうね。
ええ、今もパーティー会場のあちこちで囁かれていますもの。
「そういえば心なしか王女殿下のお腹が大きくありませんこと?」
「えっ!?」
「それって……ひょっとして……」
「懐妊されているという噂もありますわ」
「「「……」」」
「愛し合うお二人と愛の結晶。これは、お二人のご結婚は近いかもしれませんわね」
「「「きゃー!素敵ですわぁ!」」」
何がどう素敵なのか理解しがたい反応を示す令嬢達。
彼女達の頭の中も噂の二人同様に、お花畑なのでしょうね。
おめでたい頭の持ち主は現実を理解できないようです。
令嬢達が盛り上がっている一方で、大人達はというと――
「「「「「……」」」」」
「「「「「嘘だろう!!!?」」」」」
「本当らしい」
「王女が妊娠なんて」
「ありえん!」
「ですが……確かに腹が膨らんできているらしいですぞ」
「そんな……まさか……」
「王女が妊娠など、何かの間違いでは!?」
「しかし、あの腹の大きさは……」
大人達は現実を受け入れられずにいるようでした。
それもそうでしょう。
王族の結婚は国と国との結びつきを強くするためのもの。
その道具である王族が妊娠するなど、あってはならないことですから。
おめでたい頭の持ち主達とは違い、現実を直視する大人達は事実確認に躍起になっています。
「オーファンラスター公爵家の倅は何をやってんだ!?」
「オーファンラスター公爵家は何をしているんだ!」
「オーファンラスター公爵は倅が王女を妊娠させたのを知らないのでは?」
「いや、それはないだろう」
「そうだな、王女の腹の大きさは既に噂になっているんだ。知らなはずはない」
「では、何故、公爵は何も言わないのだ!?」
大人達はオーファンラスター公爵が何の対処もしていないことに困惑しているようですね。
それもそのはず、息子が王女を孕ませた、など。
公爵が信じたくなくて対処していないのか、それとも知らないだけなのか。
彼らも判断し辛いのでしょう。
「しかし、これは不味いぞ。オーファンラスター公爵家の息子は帝国貴族と婚約中だ」
「王女殿下の方が深刻だろう!未婚の……それも王女が子を孕むとは言語道断だ!」
「それも大変ですが、問題は王女様にも婚約者がいる事です!このままでは婚前に妊娠したことが公になりますわ。そうなれば国の威厳に関わります!」
「……なんとか穏便に婚約を解消する必要がある」
「だが、どうやって?そもそも婚約解消に応じるのか?応じたところで……どうなる?向こうの国にしてみれば顔に泥を塗られたも同じ。我が国との同盟破棄も考えられるぞ」
「くそっ、どうすればいいのだ!?」
下手に事を荒立てれば自国が窮地に立たされるのを悟った大人達は、何とか穏便に事を済ませる方法を模索するも、名案は浮かばない様子。
「いっそのこと、黙って婚姻させてしまえばいいのでは?」
「馬鹿を言うな!そんな事をしてみろ。この国は終わりだ!!」
「だが、このまま黙っているわけにはいかぬ!」
「それは……そうだが」
いくら考えたところで、名案など出るはずもなく、大人達は頭を抱えて黙り込むしかありません。
「まずいな。早急に手を打つ必要がありそうだ。ブランシュ嬢の留学期間も残り僅かだし、何か手を打たねば……」
「そうだな」
「うむ」
「だが、この事は極秘事項とする。他言無用だ」
「わかった」
「承知した」
こうして、それぞれの思惑が入り乱れるなか、ボルゴーヌ王国は不穏な空気に包まれていくのでした。