悪女と罵られたので退場させていただきます!

23.フリッドside

「うぅ……」

 周囲が暗い。
 当たり前か。
 ここはそういう場所だ。

 どうしてこんなことになったのか。
 突然、近衛兵に連行された。
「王女殿下の件」だと言われたが、さっぱり理解できなかった。


『なんだって!? 私が殿下の子供の父親!?』

 近衛兵から説明を受けた内容は衝撃的だった。
 
『王女殿下と関係をもっておいて、しらばっくれる気か!知らぬ存ぜぬが通用すると思うな!』

『そんな……』

『言い訳は牢獄でしろ!』

 近衛兵に腕を引っ張られ、私は投獄された。
 牢獄は暗く、一日二回の食事と排泄以外はずっと放置されたままだ。

 一体どうなっているんだ?
 訳がわからないまま数日が過ぎていく。
 気が狂いそうだったが、それでも希望はあった。

 ブランシュ・クリスティーネ・ヴァレリー公爵令嬢。

 帝国貴族の令嬢と婚約している。
 彼女がきっと私を救い出してくれるはずだ! 私はそう信じていた。


『どうして……』

 牢屋に入れられて五日後。
 ブランシュ嬢の代理という帝国大使が現れた。
 これに関しても当然だと思った。
 いくら婚約者だからといって、面会とはいえ、令嬢を牢屋に入れることは普通あり得ない。だから彼女の代理と言われて納得したのだ。

『な、何故……』

 意味が分からなかった。
 婚約の白紙だと……?
 どういうことだ?
 私を助けにきてくれたのではないのか!?

『はい。先方からの申し入れです。理由は、お分かりの筈では?この国の王女殿下と貴殿の関係はあまりにも有名ですよ』

『そ、それは……』

『ご自分のことですから当然しっていますよね?』

 確かに有名だ。
 だが。

『それは噂に過ぎない!』

 叫んだ。
 叫ばずにはいられなかった。

『お二人に関しては、こちらとしても非常に遺憾に思っております。まさかこのような事態になるとは思いもしませんでしたが……。しかし、ジェニー王女殿下の件は無視できません』

『それは!』

『もっとも、その一件がなくても、こういう結末になっていたでしょうが。なにしろ、貴殿は我が国を軽んじる行動ばかりしておりましたからね。まあ、それもジェ二ー王女殿下が絡んで来てから、と言うべきでしょうが……。貴殿にそんなつもりはなかったのかも知れない。だが、問題は、第三者がどう見て判断するか、ですよ。貴殿と王女殿下の言動は目に余りました』

 大使は冷笑を浮かべて私を見た。

『…………』

 何も言えなかった。

『本来であれば、もっと穏便に済ませたかったのですがね。残念ながらそれが出来ない状況になりましたので、こちらで全てをなかったことにしておきました。王女殿下との最近の噂は実に信憑性が高い。婚約白紙については、貴殿のご実家も納得の上なのでご安心ください。ああ、そういえば、王女殿下は貴殿との子供を産むとか。遅くなりましたが、お子様のご誕生、おめでとうございます』

『あ、あれは何かの間違いで……』

『間違いですか?本当に?』

『あ……』

『どうやら心当たりがおありのようですな。まあ、そういうことです。では、これにて失礼させて頂きます』

 大使はそう言うと去っていった。


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