悲しいくらいに青い空が、夜に溶けるまで

第九話 家庭的なキミ

【家庭的なキミ】

「一先ず夕食でも食べよ。」

そう言って私は部屋に招かれた。
目に飛び込んできたのは、机に並べられた豪勢なお料理!
それもどれも美味しそうで手作り料理だと一目で分かる。
パスタにサラダ、スープにお肉料理…どれも美味しそうだ。
お腹がクゥーと音をたてたのが恥ずかしくて、軽く咳払いして苦笑いしていると、
「ここが御手洗で、ここがお風呂…」と部屋の隅々まで丁寧に案内をしてくれた。

それから、
「荷物部屋に置いておくから、手を洗って少しだけ待っててな」
とパタパタ…と夕食の段取りを手際よく始める。

私が落ち着いて席に座るまでのその間、彼は慌ただしく行き来していて、その様子を横目にして私は…
彼は何でも出来るんだなと感心していた。

「家庭」ってこんな感じだったかな?私にとっていつも待ち続けたその居場所は、苦痛でしかなくて。私を私だと分かった上で、歓迎をしてくれている。
久しぶりの温かい生活模様を思い返していた。
個々のお料理達の香りが音色の様に、身体に浸透してくる。
私の第六感までも刺激して、私の守護様までも感激しているかにように感じてならない。

私は見てることしかできずに、それでもこうやってキミ君の様子を微笑ましく思うと頬が柔んだ。
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