総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「何してる、かぁ。研究だよ。見ての通り。」
「……地下にこんな気味の悪い部屋作って、深夜にコソコソやる研究って何。怪しすぎでしょ。」
天音くんが吐き捨てるように言うと、男はふっと唇を歪めた。
「許可を取れない研究だからね。」
眼鏡の奥の目が私達を順番に舐めるように見た。
「……赤羽叶兎くん。それと、朝宮胡桃さん。」
名前を呼ばれた瞬間、私の心臓がドクンと大きく跳ねた。
「……俺たちのこと知ってるんだ?」
「知ってるよ。…よく、ね。」
男がゆっくりと作業台の方へ歩き、注射器を一本、指先で愛おしそうに弄ぶ。
「君たちが来るのは想定内だったよ。むしろ遅いくらい。 」
「……は?何言って──」
男は振り返って微笑んだ。
けど、その笑顔の温度が急に消えた。
研究者の仮面の下から、もっと別の何かが顔を覗かせている。
「最近の吸血鬼暴走事件、気になってるでしょ?あれ、全部俺がやったんだよ。」
あっさりと。
当然であるかのように、彼は自分の罪を口にした。