総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




心臓が嫌な音を立てて跳ね上がる。

私を見た瞬間に浮かべた、妙に納得したような表情。


それはきっと、ネットで大炎上しているあの悪意ある切り取り動画に映っていた『被害者の人間』が私だと気づいたからに違いなかった。



「君、あの動画の……子、だよな?」



案の定、男の口から出た言葉に息が詰まる。



その声に引き寄せられるようにして、周囲にいた他のハンターたちも次々とこちらに視線を向けてきた。

その瞳に宿るのはあからさまな好奇と、そして吸血鬼に対するものと同じような深い警戒が入り混じった冷たい目。



「なんで君、あの吸血鬼の傍にいるんだよ。あの動画じゃ完全に襲われてただろ。……もしかして口封じに脅されてるのか?」



叶兎くんをキッと睨みつけながら、私に問いかけてくる。


その声には、純粋に人間である私を心配してくれているような響きと同時に「吸血鬼が人間に何か良からぬ企みをしているのではないか」という強い不信感が混ざり合っていた。

きっと、その両方の感情があるのだと思う。



ハッと隣を見ると、叶兎くんがゆっくりとこちらを振り返るところだった。

その赤い瞳の奥には微かな苛立ちの炎がゆらりと滲んでいる。


…これ以上、叶兎くんが誤解されて悪者扱いされるなんて嫌だ。



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