総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ



その様子を見た叶兎くんが、即座に鋭い足取りで駆け寄った。

そして倒れた吸血鬼の前に立ちはだかるようにして、銃を構えるハンターたちとの間に毅然とした姿で割って入る。



「殺すな。この身柄は、特殊警備隊で身柄を預かって尋問する」

「ハッ、お前に指図される筋合いはねえよ。」



ハンターたちの目に危険な殺意が宿る。

一触即発の、あまりにも険悪な空気。


誰もが息を呑んだその瞬間、琥珀がわざとらしい足取りで、二人の間にひょっこりと割って入った。



「はいストップストップ。こんな普通の人間が住んでる住宅街のど真ん中で、喧嘩なんてしないでくれない?」



琥珀は呆れたようにため息をつくと、味方であるはずのハンターたちを振り返る。



「ここは俺が責任を持って対応するからさ。みんなはまだ街の中に残ってる一般人の避難誘導とか、他の区画の警戒に回って。ね」

「……チッ。分かったよ、楪がそう言うならな」



ハンターたちは忌々しげに舌打ちをすると渋々と叶兎くんへ向けていた銃口を下ろした。

おちゃらけて見えるけれど、琥珀のハンター内での発言力や実力は、それなりに一目置かれているらしい。


すぐに特警の人たちが駆け寄り、怪我をした暴走吸血鬼を素早く担架に乗せて本部の医療施設へと運んでいった。



「ねぇ、君……」



背後から掛けられた突然の声に、私はビクリと肩を揺らして振り返った。


緊迫した空気が漂う大通りの一角、一人の若い男の人が私を真っ直ぐに見つめていた。


服装からして一目でヴァンパイアハンターの人間だと分かる。

その瞳には、独特の鋭い光が宿っていた。




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