総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
♦︎不思議な男の子
✳︎
今日は時雨くんと一緒に大学の図書館に来ていた。
吸血鬼、人間、契約、能力、歴史……。
普段は決して表に出ることのない記録や限られた者しか触れられない資料まで、世界中の情報がここに集まっていると言われていて。
生徒以外でも、正式な許可さえ取れれば利用できる“大図書館”。
高い天井にずらりと並ぶ書架は、どこまでも続いているように見えた。
「……すご」
思わず零れた声は、広い空間に吸い込まれるように消えていった。
──今朝。
本部の執務室で、山のような資料を前にしながら私は時雨くんに相談してみた。
「月宮大学の図書館?」
ペンを止めた時雨くんが、顔を上げる。
「うん。吸血鬼と人間の歴史とか、契約に関する資料……世界で一番集まってるって言われてるでしょ…?」
最近、吸血鬼の暴走が増えているのは偶然で片づけるにはあまりにも数が多い。
きっとどこかに、見落としている“過去の事例”や“前兆”があるはず。
それに、契約や能力のことももっと詳しく知っておきたい。
時雨くんは少し考えるように黙り込んだあと、静かに頷いた。