総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「まー俺も似たようなもんだけど。文字多いの、眠くなるよねー。さっきレポート再提出喰らっちゃってさ。今必死なわけ」
少し間を置いてから、彼は言った。
「そーいえば名前聞いてなかったね。俺、楪 琥珀。君は?」
「……朝宮 胡桃です」
そう名乗った瞬間。
彼の表情が、ほんの一瞬だけ変わった。
「……朝宮?」
確認するみたいに繰り返されて、視線が私の顔をじっと捉える。
……なに?
叶兎くんは吸血鬼の中でも有名人だけど、私自身の名前はそこまで知られていないはずだ。
でも、もし。
“朝宮”をお父さんの名前として知っているんだとしたら。
この人は、吸血鬼のことに詳しい……?
それとも。
……まさか、この人も吸血鬼?
一瞬、胸の奥がひやりとした。
「……どうかしました?」
思わずそう聞くと、彼は一拍置いてからふっと力を抜いたように笑う。
「………いや。珍しい苗字だなーって思って」
そう言いながらも、視線はまだ探るみたいで。