総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ



「まー俺も似たようなもんだけど。文字多いの、眠くなるよねー。さっきレポート再提出喰らっちゃってさ。今必死なわけ」



少し間を置いてから、彼は言った。



「そーいえば名前聞いてなかったね。俺、楪 琥珀(ゆずりは こはく)。君は?」

「……朝宮 胡桃(あさみや くるみ)です」



そう名乗った瞬間。

彼の表情が、ほんの一瞬だけ変わった。



「……朝宮?」



確認するみたいに繰り返されて、視線が私の顔をじっと捉える。


……なに?


叶兎くんは吸血鬼の中でも有名人だけど、私自身の名前はそこまで知られていないはずだ。


でも、もし。

“朝宮”をお父さんの名前として知っているんだとしたら。


この人は、吸血鬼のことに詳しい……?


それとも。

……まさか、この人も吸血鬼?


一瞬、胸の奥がひやりとした。



「……どうかしました?」



思わずそう聞くと、彼は一拍置いてからふっと力を抜いたように笑う。



「………いや。珍しい苗字だなーって思って」



そう言いながらも、視線はまだ探るみたいで。



< 73 / 78 >

この作品をシェア

pagetop