総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
……ん。
どれくらい眠っていたのかは分からない。
ただ、誰かの気配を感じてゆっくりと目を開けた。
ぼんやりした視界の中に入ってきたのは、向かいの席。
そして──さっきぶつかった、あの人。
え。
思わず固まると、彼は私が起きたことに気づいてにこっと微笑んで手を振っている。
「あ、起きた。さっきぶりー」
慌てて起き上がって背筋を伸ばす。
寝てた……完全に……しかも他人に見られていた………。
恥ずかしさが一気に込み上げてきて、顔が熱くなるのが分かる。
俯きがちになる私を見て、彼は私の前に積み上げられた本と開きっぱなしのページに視線を落とし、くすっと笑った。
「やっぱ難しすぎた?」
「……はい」
小さく認めると、彼は肩を揺らして笑った。
「正直でよろしい」
そう言いながら、彼も自分の手元の資料を指でトントン叩く。