総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
私のすぐ目の前に立った瞬間、叶兎くんは何の躊躇もなく身体の体重をまるごと私に預けてきた。
「わ、ちょっと……!」
どさっと肩にズッシリとした重みがのしかかり、倒れそうになるのを反射的にギュッと支える。
ふわ……と、叶兎くんの体温とともに上質なお酒の甘い香りが鼻腔をくすぐった。
普段はどんなときも冷静で余裕たっぷりな叶兎くんが、こんなにも無防備に酔っ払っているなんて、すごく珍しい。
「……歩ける?」
「んー……」
返事の代わりに、私の肩口にスリスリと頭を擦り寄せてくる。
まるで甘える子猫みたいで、完全に甘えモード全開。
っ……、か、かわいい……。
不覚にもキュンとしてしまったけれど、ハッと我に返って、とりあえず部屋のソファへと誘導する。
「と、とりあえず座って。転ばれたら困る」
ソファに誘導すると、素直に「はーい」と座る。
とりあえずネクタイ、緩めて。
……介抱してるみたいで、なんだか変な気分。
でも、上着を脱がせるときに自然と距離が近づいて。
自分から近づいてるのに、変に意識してしまう。
「胡桃」
名前を呼ばれて顔を上げると、叶兎くんがじっと私を見ていた。