総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「図書館で人にぶつかったからかな…?」
ぎゅっと、叶兎くんが私の服を掴む手に力が入る。
「俺がいないところで、俺じゃない男の匂い付けてこないで…」
拗ねた声で、胸に顔を埋めて声がくぐもる。
男の匂いもなにも、ほんとにぶつかっただけなのにこんな嫉妬してくれてるの、かわいすぎる。
そのまま私の背中にしっかりと腕を回し、絶対に離さないとばかりに固まる叶兎くん。
この、あからさまに素直で甘えてくる叶兎くんは、激レアかもしれない。
顔を私の首元に埋めたまま、叶兎くんは少しだけ甘く咬むように、牙を肌に立ててきた。
痛くはない、ギリギリの絶妙な力加減。
「っ……!」
いつもみたいに鋭い牙で貫かれて、傷口を優しく舐め取られるような濃密な感覚はなくて。
叶兎くんは満足そうに、噛み痕がついた私の首元を見つめて「ふふっ」と嬉しそうに笑った。
「ふふ、これで俺の」
酔ってはいるけど…本気で噛まないあたり、ちゃんと理性はある。
「もっと頭の中おれでいっぱいにして。」
「も、もう十分叶兎くんでいっぱいだよ…?」
「足りない」
至近距離で見つめられて、恥ずかしくなって逸らそうとすると頬を両手で包まれる。