キグルミ
 私の通う中学校には「文化祭には幽霊が出る」という噂がある。
 本当かなぁ? なんだかんだで押しつけられて毎年文化祭実行委員をやっているけれど、私は会ったことがない。

 文化祭では、私たち文化祭実行委員はキグルミ担当になる。
 実行委員の腕章をつけて校内を見回るよりも、威圧感がないということで毎年採用されている方法だ。
 私は淡いピンクのウサギのキグルミだ。
 
「ウサギさーん。風船ちょうだい」
 小さな女の子に話しかけられて私は風船を渡す。
「ウサギさーん。こっちにもふたつ」
 他にも一緒に写真とったり、ハグしたり。掃除したり……9月の残暑が厳しいキグルミの中は暑くって。
 それに本当に倒れそうなほど忙しくてクラクラになった。 
 だからまぁ、模擬店やクラスの出し物を回る時間も無いし幽霊に会えないのも仕方ないか。

「おーい。西棟エリアのキグルミ担当の人たち〜。そろそろ休憩とって!」

文化祭実行委員長は言った。

「はーい」

じゃあ、点呼「いち」「に」「さん」「し」!

 文化祭実行委員長は思った。
「やっぱりこの西棟エリアの着ぐるみは毎年一人多いな……」

……………………………………………………………………………………

【解説】
「私」はキグルミを着たまま熱中症で亡くなった文化祭実行委員の幽霊でした。
自分が幽霊になったと気がつかず、健気に文化祭の見回りを続けていたようです。

自分自身が幽霊なのですから、会えるはずもありませんよね。
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