Bella Notte
 藤ちゃんは帰りのフライトのルート確認等があって今回ゆっくりできるのは、今日だけだとまたしょんぼりしていた。
「じゃあ、帰りのフライトがんばったら何かご褒美あげようかな」
 冗談交じりにそう言う。
「本当ですかって」食い気味に話しに乗ってきて。

 苦笑いしながら頷いた。

 パリの街は雨に濡れるとまた違った美しさを魅せてくれる。
 街中を散策して満喫する予定だったけれど、ホテルのジムフロアへ行き1人で運動することにした。

 いい汗をかけるし、夜はよく眠れる。明日は帰りのフライトが待っているので体調管理も仕事のうちと。

 そう言えばあれから桜井から連絡が来る事もなく。
(地方で仕事って言ってたし、忙しいよね)

 そもそもお互いに連絡の頻度はそんなにまめではないし、とタオルで汗を拭きながら自室へ戻る途中。
 エレベーターでばったり藤ちゃんと遭遇する。

「楓先輩!やっと会えた」
 と今にも飛びついてきそうな勢いの藤ちゃん。
 たった数日会わなかっただけなのに、と思わず吹き出してしまう。
 それをひどい、と少しむくれながら少し睨んできて。

「お疲れ様、予習は順調?」
 と聞けば満面の笑み。
「はい、楓先輩のおかげですごくはかどってます」
 と返された。

 エレベータのドアが開くとクルーの女性が数人乗り込んできて。
「藤田さん、岡山さんお疲れ様です」
 と声をかけてきた。

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