Bella Notte
「桜井様が温かいお茶をとおっしゃっているので、誰かお願いします。私は休憩へ入りますので」

 静かなサービス争奪戦が始まっているのを横目に、休憩室へ向かう。

 先輩としては。
「他のお客様へのサービスも変わらずお願いしますね」
 と一言釘を刺したけれども、後はチーフが捌いてくれると疲れた体を休めることにした。

 しばらくすると、藤ちゃんに恋しているであろう丸山さんが休憩に入ってきた。

 笑顔で会釈をしてお疲れ様ですと言うと、少し睨まれるようにお疲れ様ですと返される。
 疲れているのかな、とあまり気にせずにいた。

「……あの、岡山さん今日空港まで藤田さんと一緒のタクシーに乗ってませんでしたか」
 冷たい声が聞こえてきて。

 少し仮眠を取ろうとしていた所だったのに、と少し気怠そうに返事した。
「ええ、藤田さんが急いでいた様でしたので、仕方なく」
 と言って丸山さんの顔を見ると、赤くなって震えていてる。

「お二人は付き合っているんですか」
 と震える声で聞いてくる。

「……いいえ、付き合っていません。本当に偶然だったので、心配しなくても大丈夫ですよ。ごめんなさい疲れているので」

 そう言って話を切り上げる。
 丸山さんは小さくため息をついた。

「プライベートな事まで聞いてしまって、すみませんでした」
 と言って休憩室から出て行ってしまった。

< 129 / 198 >

この作品をシェア

pagetop