Bella Notte
(休憩時間じゃなかったのかな)
 頼まれたお茶を持って行かなかったので、仕事中だと諦めてくれたのか、あれから桜井が絡んでくる事はなかった。

 疲れた体を引きずりながら、空港を出たのはお昼をとっくに過ぎた頃だった。

 スマホの電源を切りっぱなしにしていたと思い出して、電源を入れた。

『楓、今すぐニュースサイトを見て』
 文乃からのメッセージ。

 不思議に思いながら画面のURLをタップしすると、トレンド欄に信じられない文字が並ぶ。
『俳優でモデルの桜井優斗が熱愛、深夜の海辺デート』
 思わずスマートフォンを落としそうになって、慌てる。

(……どうしよう)
 怖くて記事を直視する事ができない。

『文乃どうしよう、今空港だけど 』
 フリック入力している途中で大きな手が私の手首を掴む。

「楓先輩、行きましょう」
 藤ちゃんが有無を言わせずに私を引っ張るようにして、タクシーの後部座席へ押し込む。
「先輩の家はA区ですか?」
 そう言うので頷く。
「良かったです俺の家もその辺りなので一緒に帰りましょう」

(いや、ニュース……)
「桜井センパイから頼まれたんですよ」
 その言葉に思わず藤ちゃんを見る。
「騒ぎになるはずだから、自分の代わりに守ってくれって」

 そう言って肩をすくめながら笑ってる。
「そうなの……ありがとう」
 それしか言葉が出てこない。

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