Bella Notte
 桜井が暇だと家へ遊びに来たので、父が一緒に行こうと連れてきた。

 まだ夏本番とはいかない、過ごしやすい海辺。
 今日も思い思いにビーチで過ごす人たちで溢れている。

 中学3年生になって、色々と進路で悩む日々。
 桜井はあれから彼女作らないし、なんなら私と過ごす時間がすごく増えた気がする。

 「優斗、ちょっとこっち」
 そう言って父が桜井を連れて行く。
 波打ち際まで連れていかれて、もう会話は聞こえない。

 戻ってきた桜井は、少し顔が赤くて、そして今までにないくらい笑ってた。
 「その笑顔だよ、一緒に取ろう」

 そう言って最高の1枚を残すことができた。
 初夏の良く晴れた雲1つない青空と、凪いでいるコバルトブルーの海。
 白い砂浜がどこまでも輝いていた――――。

 クリスマスカラーの包装紙とリボンで大切に包んでいく。
(きっと優斗の欲しいものは、形のない想い)

 プリントアウトした2人の思い出は、優斗の好きなブルーで綺麗に飾られている。

(たくさんの人や物に囲まれている日常を少しでも忘れて、隣にいる時くらい寛いでほしい)

 ふと笑みがこぼれる。
 この贈り物を受け取った時、どんな表情を見せてくれるのかと。

 ―――― クリスマスイブの夜、仕事が押しに押してもう日付が変わろうかという時にやっと楓のマンションへ着いた。

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