Bella Notte
 ボソっと桜井が呟いたのを聞いて、目で威嚇してみる。

 意地悪そうに井川くんの隣で笑う桜井。覚えてなさい。と心の中で呟やいた。

 ―――― 今日はハルと祭りデートのはずが楓と井川まで一緒に行くことになった。

 そうなった理由は楓の初恋なのだが、オレはこの展開がものすごく面白くない。
 待ち合わせの場所へ早めに着いたので、立っているだけなのに女の子達が周りに集まってくる。

「1人ですか?一緒にお祭り行きましょう」

「お名前なんて言うんですか?」

「すごくカッコいいですね」

 口々に勝手に話しかけてくる。

 自分が周りからどう見られていているのかは分かってるつもりだ。
 だから相手が望むように振る舞うし、それに逆らうより時には楽だ。

 それがたまに窮屈に感じることもある。

 そんなオレが自然体でいられるのが、楓の側だけだ。
 今なんてまさに、少し放っておいて欲しいけれど、女の子達は離れてくれない。

 ため息を1つついて周りを見渡すけど、井川はまだ来ない。

 もちろん楓達も。
 今日は、ハルに別れようって伝えるつもりだ。

 やっぱりこのままじゃ、ハルに悪い。
 そうしていると井川が現れた。

 こっちが困った顔で右手を上げれば、爽やかな笑顔でこっちへ駆け寄ってくる。

 男のオレから見ても井川は一緒にいて気持ちの良い奴だし、楓ともお似合いだと思う。

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