Bella Notte
 そういって切ない顔で2人を見送っていた。

 周囲から聞こえてくる賞賛の声。
 「SAKURAIだ!カッコ良すぎるよ!」
 「一緒にいる人もモデルさんかな?」
 「一度でいいからあんなふうに手を繋いでみたいな」

 こんな風に人から注目されているのに、桜井はずっと側にいようとしてくれた。
 「優斗、だめ」
 私の声は届かない。

 「ダメだって。撮られちゃう!」

 やっと振り返って視線が合うと、悲しそうに見下ろしてきて。

 私の叫び声と優斗の表情に周りにいたファンの時間が一瞬止まり、スマートフォンを下ろしてくれた。

 「……プライベートだよ、やめておこう」
 どこからともなく聞こえてきた。

 「楓、全部どうでもいいくらい、愛してるんだ」

(な……)
 ハッキリと大きな声で伝えてくるその言葉に、時が止まる。
 周りのファンが卒倒しそうなくらい興奮している。

 「でも……」
(え、優斗どうしたの?)

 大きな手が頬に伸びてきて優しく撫でてくれた。
 「巻き込んで本当にごめん」
 心臓が痛い程震える。
 優斗がもう一歩距離を詰めてきて、甘い視線で見つめてくる。

 「だけど大切な人だって、堂々としていたい」

 久しぶりにみる自信に溢れた、笑顔。
 ふと初掲載の、広告フォトの優斗を思い出す。

(あの頃から何も変わってない。あの、まっすぐな視線)

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