Bella Notte
 笑顔で固まってしまった私に増田さんは笑いかける。

「バカ、いいよ。ごめんね、岡山さん。増田は友達が呼んでるみたいだよ」

 そこでやっと引き下がってくれた増田さん。

「明日は朝一で練習ですから、遅刻しないでくださいねー」

 瞳の奥が笑ってない笑顔で去っていった。
 あの子、すごく積極的で、それに『可愛らしい』すごく女の子らしい。

 ―――― 楓が金魚すくいに夢中になっている後ろで、ハルが提案してきた。

「ね、楓と井川君を2人にさせてあげよう」

 オレとしては嫌だったけど、そうも言えずハルの提案に乗った。

 今は、少し疲れたので祭りの人を避けて川沿いで休憩中。
 沈黙が2人を包む。

 オレがここ何日かかけて考えていた事を話そうと、口を開きかけた時。

「優君。他に好きな人いるでしょ。」

 ハルが前を見たまま話し始めた。その表情はとても穏やかだ。
 オレの心臓が嫌な音を立てて騒ぎ出す。
 いや、他に好きな人がいるのは、ハルだろ?

 何も言えないオレを見て、笑うハル。

「ごめんね。私から付き合ってって言い出したから、中々言えなくて。」

 繋いでいた手を離される。

 「私にも他に好きな人がいるって気づいたんだ。ううん。好きなのに素直になれず、優に逃げたんだ。」

 申し訳無さそうに、見上げてくるハル。

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