Bella Notte
「優くん、ううん、桜井もそうだよね?見てたら良く分かる。私と似てるから。」

 全てを悟ったようなハルに何も言い訳出来ない。
 そうだ、オレはきっと楓の事が『好き』なんだと思う。だから。

「ごめん」

 ハルに頭をさげる事しかできなかった。

「私達、友達に戻ろう。」

 そう言ってハルは、いや長瀬は、今までで1番綺麗に笑った。

 ―――― 人が溢れ返る屋台通りを何とか抜けて、海沿いの道にたどり着いた。

 今日の海は波が静かで、風も凪いでいる。
 月の優しい光を受けた水面が、揺れるたびに美しい光を放つ。

 夜空は優しい蒼。

「ごめんね。アイツ遠慮を知らないやつで」

 井川くんが言うたび、増田さんとの距離の近さに心の中がジリジリと焼けてとても痛い。

「ううん。大丈夫だよ。とっても可愛らしい子だったね」

 やっと笑顔を貼り付けて井川くんの隣に並ぶ。
 その後はぐれた2人に会えるはずもなく、歩き疲れてしまったので井川くんの提案で、帰る事にした。

 控えめな街灯の光が夜道を照らす。


 あれだけ緊張してたのが嘘みたいに、帰り道はとても楽しい。

 だけど下駄の鼻緒が食い込み、ものすごく痛くて歩くのがとても遅くなる。
 そろそろ我慢の限界が近い。

「岡山さん、もしかして足が痛い?」

 ついに井川くんに気づかれてしまう。

「うん。家まで持つかなって思ったんだけど」

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