Bella Notte
 少しだけくすぐったくて、思わず笑顔になる。

 じゃあね、と言って健人くんは行ってしまった。

 ダラダラ過ごす雨の午後。

 ふと家のインターフォンが鳴ったので渋々玄関へ出ていった。

「久しぶり」

 悪友の笑顔が見えた。

「健人さんに髪切ってもらったら、楓が暇してるって言ってたから様子見に……」

 そこまで言葉を発してから、なぜか固まる桜井。
 心なしか、頬が赤いような気がするけど、気のせいと流した。

 ふと今の自分の格好を思い出してみると、短パンにタンクトップといつもより露出多め。
 思い切り部屋着だと気付いた。

(ま、桜井だし、いいか)

 いつまでたっても続きの言葉を発さない。

「それで、からかいに来てくれてありがとう」

 思い切り笑顔でそう言えば、気を取り直したようだ。

「で、茶の1つでも出してくれないわけ」

 といつもの太々しい態度が復活してきた。

「アイスティーと、健人くん特製オレンジシフォンケーキがあるよ」

 そう言えば。

「やった、お邪魔します」

 上がっていいと勧めていないのに、ズカズカと我が家のように上がり込む。
 長年そうだったから諦めモードで。

「はいはい、どうぞ」

 桜井の後をついていく形で、リビングへ行った。

(最近何だか桜井が変。)

 変な桜井と一緒の空間で何だか少し落ち着かない気持ちがする。
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